仕事に追われてちょっぴり焦りを感じたとき、いつも思い出すローマ皇帝アウグストゥスの「ゆっくり急げ」
今回は、この心に刺さる格言を私なりの商売の感覚に重ねて考察します。
いきなり本質:
多くの‟成功法則”の裏側には、「不安」と「理想」を巧みに刺激する仕掛けが潜んでいます。
こんな情報過多な現代だからこそ、焦らず着実に、しかし止まることなく進む「ゆっくり急げ」の精神で、商いを行うことが大切。
もう少し詳しく説明します。
「自由な働き方」思考が生まれた背景
コロナ全盛から流行り始めた“好きな仕事を自由な時間に”という言葉は、人々の理想を強く惹きつけました。その背景には、
・定時出社、終身雇用、年功序列といった日本独特な働き方文化に疲弊し、さらに仕事は「仕事=自己実現」で我慢することでは無いと感じた人が増えた。
・コロナ禍によるリモートワーク普及が「時間と場所に縛られない働き方」を現実味のあるものにした。
こうした世の中の変化が影響していたと言えるでしょう。
そして、「差別化しなきゃ」思考が生まれた背景
私の現実は、最初から楽な働き方をするつもりがなかったとはいえ、そんなに甘くありませんでした。会社員時代よりも心は充実しているものの、実績を積み上げるまで踏ん張ろうと体力を振り絞って働いております。きっとほとんどの方がそんな感じではないでしょうか。
そして、コロナの影響が薄れた昨今では、煽り手法なのか「周りと同等レベルの働き方じゃ成功はできない!」と、今度は極端な不安を煽る系の成功法則が多発しました。背景にはこのような心理があります。
・起業家やフリーランスが増え、競争が激化したことで、人々に「差別化しなければ埋もれてしまう」という焦りが生まれた。
・成功者の「人と違うやり方で勝った」という、時代の流れに逆らうようなストーリーを発信する人々の影響を受けた。
人の心理は白か黒かといった二極化思考に陥りやすく、世の中の多くの成功法則は時代に合わせて、この「不安」と「理想」を巧みに刺激する言葉が仕掛けられているのです。
- 周りと比べて「他人よりも有利になりたい」という願望からは、“好きな仕事を自由な時間に”
- 「早く何とかしなきゃ」と焦る気持ちからの、“周りと同等レベルの働き方じゃ成功はできない”
しかし、商売の本質は一時的な感情に左右されるものではありません。焦らずに着実に、顧客との信頼関係を築き、お客様が必要とする価値のあるものを提供し続けることが大切なのです。
ビジネスは1、2年で終わりません。今を精一杯歩んでいたら、5年10年後、気が付いたら成果を出しているのが理想的ではないでしょうか。
※走り続けることが性に合っている方もいるでしょう。そういった方は、破壊と再生を繰り返すようなビジネスモデルのほうが向いているかもしれません。

ラクして良いのね〜。とか、もっと頑張らなきゃ。と追いつめる様な、極端な捉え方もしないでくださいね。
長く愛される商売の秘訣は、ゆっくり急ぎ続けること。
ところで、あなたはどんなビジネスマンをかっこいいと思いますか?
- そのお店らしさで10年以上続けている
- 地道な努力を惜しまず、信頼を積み重ねている
私は、その道を黙々と歩む人を尊敬しますし、応援したくなります。派手なことより、地味ながらも愚直にやり続けられる人に魅力を感じるため、個人店オーナーや中小企業の社長のサポートに関わらせていただくことが多いです。
約20世紀前の時代から、焦らず着実に、しかし止まることなく進む精神の大切さを見抜き、「ゆっくり急げ」を唱えたアウグストゥス。


この格言には、現代のビジネスや人生にも通じる普遍的な教訓を含んでいるのです。
改めて凄い人だな。
このブログを読んでくださっているあなたへ。
情報があふれ、価値観が目まぐるしく変わる今の時代。だからこそ、甘い誘惑や不安を煽る言葉に心を奪われることなく、「ゆっくり急ぐ」商売を楽しみながら続けてみてください。応援しています。
マーケティングの観点から見ると、多くの‟成功法則”の裏側には、「不安」と「理想」を巧みに刺激する仕掛けが潜んでいます。「あなたもなれる」「誰でもできる」といった甘い言葉が使われることもあります。
気を付けてね〜!
今回は、SNSマーケティングにおける発信者の意図をお伝えしました。これらの言葉の仕掛けが、必ずしも悪いとは限りません。大切なのは、その言葉があなたの状況に当てはまるかどうかを、ご自身で見極めることなのです。
あなたが、あなたらしい商いのあり方を見つけられますように。